2016年度「読解・作文の技法」終了間際の雑感

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「読解・作文の技法」という1年生向けの少人数クラス(といっても24人)で新書(筒井淳也(2015)『仕事と家族 – 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』中公新書)をゆっくり読んでいる(かつての募集要項はこちら)。2年連続で同じ本を読んでいると教員側に余計な知恵がついてきてしまって説明は速くなるし,関連文献読み始めてしまって載ってない内容の解説をはじめてしまうしで,元々目指していた独学独習のための読書というコンセプトとしてはあまりよくなかったかもしれない。

代わりに,(時間が余り気味だったので)今年はただ要約するだけではなくて,最後の3回を使って文献の探索から行うレポートを課して,引用や参考文献の書き方のトレーニングを行った。

  1. 「福祉レジーム」はなぜ3つのレジームにまとめられているのか。文献を元に,背後の論理を解説しなさい。(12/19)
  2. 福祉レジーム論の登場以降,日本の社会福祉論・福祉国家論ではどのような論点が検討されてきたか。複数の文献を挙げ,論点を要約しなさい。(12/26)
  3. 労働者として,家族を形成する一員として,日本はどのような社会構造・社会福祉制度の国家であることが望ましいとあなたは考えるか。既存研究を参考にしながら,自分の論点を提示しなさい。(2017/1/16)

ということで基本文献はEsping-Andersen(1990)だから探しておいで~とか,OPACで日本に関する文献探してみな~,などなど。後はまあコピペレポートは読み上げさせてこの辺でわかってしまうよ~というのを実際にやってみせたり・・・。

来年度は本を変えることは決めているのだけど,なかなかほどよいレベルの新書がなく,かといって手垢にまみれた良書を使うのは(たとえばハンス ザイゼル『数字で語る―社会統計学入門』新曜社などは割とやりたい内容に近いのだが・・・)1年目から飽きてしまいそうなのでなるべく最近のもので選びたく。

今のところの来年度の候補は山田真裕(2016)『政治参加と民主政治』東京大学出版会。新書ではなく,研究書よりの教科書といったところで,レファレンスが非常にしっかりしてるのでこれを使って毎回文献探索の練習でもしてもらおうかな,と(かなり受講者は減るだろうが)。1年生の教養のコマなので,経営学以外でも生きていく上で一応考えておいた方がいいこと,仕事のこと,家族のこと,政治のこと,教育のこと,なんでもいいが身近な社会科学を雑食気味に学ぶ場になればいいなと思っている。

1年目(2015年度)のときに使っていた雑談スライド(もう古くなっているが,最新のものは受講生限定のサービスにしましょうかね)はslideshareにアップしているのでご笑覧いただければ。