今年は卒業論文を書かないゼミの運営方法にしたので,うちのゼミでは問題が生じないのですが,やはりこの時期のゼミの悩みは「ゼミ論・卒論・卒業研究のテーマやネタが思いつかない!」というものでしょう。
今日は身近なニュースから具体的な経営学の卒論のネタになりそうなテーマをいくつかご紹介し,ネタの探し方を検討してみたいと思います。
テーマ例1:ニコニコ動画はなぜ海外展開できなかったのか?
最近,中国発祥の動画サイトが全世界的に流行しています。例えばTiktokという動画アプリをご存じでしょうか。2016年9月に開始され,日本では2018年頃から10代20代を中心に広まりつつある最中ですが,全世界では5億ダウンロードもされています。
ビリビリ動画というサイトも,中国発祥で,米国の株式市場であるNASDAQに上場しました。
“中華人民共和国の動画共有サイトおよびビデオ、ライブ放送、ゲーム、写真、ブログ、漫画などのエンターテイメント・コンテンツ企業”
“2018年3月末にはNASDAQに上場。上場時の時価総額は31億3000万ドルとなった”
これらのサイトの活躍ぶりをみると,日本にもニコニコ動画というサイトがあるのに,なぜニコニコ動画は日本国内でその人気がとどまり,ワールドワイドなサービスにならなかったのか,という問いを立てることができます。
ニコニコ動画の誕生は2006年であり,ビリビリ動画(2009年~)は日本のサブカルチャーの影響を受けて開始されたサービスです。卒論におすすめなのは,先行する企業がいたにもかかわらず,なんらかの逆転が生じてしまったようなケースです。先行企業や既存企業が1度築いた優位性を保つことができれば逆転は生じないはずなので,普通は逆転の理由はすぐには説明できません。なぜ逆転が生じたのか,いろいろと一般的に言われている理由をまとめ,それぞれ検討してみるとよいでしょう。
テーマ例2:就職活動人気ランキング企業の意味は?
先ほどの例は,「シェアの逆転」という問いのだしやすい状況に着目するという手法でした。もう一つの方法として,“問いはよそから借りてくる”という方法もあります。例えば,少し古いネット記事ですが,楠木建先生の連載につぎのようなものがあります。
楠木建の週刊10倍ツイート2012.7.5 就職人気企業ランキングの不思議「ラーメンを食べたことがない人による人気ラーメン店ランキング」?
就職したことのない学生達による人気企業ランキングを作ってどうするのか,というのが記事の趣旨になります。このようなニュースやコラムから問いを借りてきて「ではなぜ就職企業人気ランキングのようなランキングが作られるのか」,「ランキング上位企業の栄枯盛衰はどうなっているのか」,などを調べてみるのも手です。世の中のニュースやコラムで問われていることを深掘りすることで,卒論のテーマとすることができます。
参考:マイナビ・日経 2020年卒大学生就職企業人気ランキング
以上のように卒業論文には①不思議な現象からスタートする方法と②他人の問いを借りてきて深掘りする方法の2種類が始めやすいのではないかとおもいます。参考にして下さいね。