「日本の若手・中堅経営学者リスト」を公開しました。ぼんやり考えているだけだと一向に進まないので,とりあえず公開してから追々学術誌の追加などやっていこうと思います。数がまだまだ足らないので,最終的に300人ぐらいにまで増やしたいですね。そのくらいの数はいるはずだとおもっていて,そのうちの70人ぐらいなので,かなり偏ったリストであることをご承知ください。
誤解して欲しくないのは,これは日本の経営学者のランキングではないということです。むしろ,これは出発点に立った経営学研究者のリストです。国内誌に2本載せることができる人は,おそらく国内の査読はクリアできる能力を持っていることは確定で,次に進めると思うのです。これから世界に出て行ける可能性のある日本の経営学研究者としてどういう人たちがいるのか,お互いに知っておくことは重要だと思いました。なので,2本以上の掲載ラインだけ決めて,それ以上の状況についてはデータを丸めておきます(ちなみに全年齢のトップは7本です)。
リスト化の発想は結構前からあって,入山章栄先生(現・早稲田大学教授)が『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を出版されたのが2012年秋なので,あれが1つのきっかけです。逆に「日本の経営学者は何を考えているのか」についてもっとアウトリーチしないと,いろいろと首が絞まりそうだなと思ったのが1つ。
もう一つには,ここ数年の文科省対財務省の不毛な予算折衝を見ていると「被引用数トップ10%論文」が1つの指標として使われるようになってきていることが問題意識にあります。ここにとてもじゃないけれども貢献できそうにない日本の経営学の状況をどう説明するか,被引用数を競うどころかそもそもSocial Sciences Citation Indexにすら載ってないような邦文雑誌に投稿している状況を「全く何もしていない」と見なされてはたまらないというのが問題意識としてあります。
残念ながら,指標化には指標化で対抗するしかありません。そもそも被引用数や世界大学ランキングのような指標も一種の宣伝なのですが,宣伝にすぎない,そのような指摘をしても,数字の一人歩きには勝てない。なので,リストにはリストで,ささやかながら対抗したいと思います。掲載作業を通じて,「ああこの先生はあまりインターネットに情報を載せたくないんだろうな」という先生方がいらっしゃることは理解しているのですが,勝手にリスト化してごめんなさい。ご本人からの削除要請にはもちろん対応させていただきますので,ご連絡ください。
ざっとした数字の規模感だけお伝えしておきます。日本経営学会が会員数1800人ぐらい,組織学会が会員数2000人ぐらい,のべ人数だと3800人ですが,1000人ぐらいは両方に入ってると思う(根拠無し)なので,実数は3000人弱ぐらいが母集団となります。1997年以降に1本以上査読論文を採択されているのが500人ぐらい,2本以上で150人ぐらい,年齢制限をかけたら70人ぐらいになりました。