大学の人事慣行の問題
大学の人事慣行にはいろいろと問題があるのですが,その1つに正式な内定通知が着任前に出されないことがあるというものです。最近,藤田医科大学教授の宮川先生が東京大学と2年間にわたり裁判をした結果を公表されたことで話題になりました。
給与がわからない問題
自分の時はどうだったかなと振り返って見ると,現職への着任前に,確かに判のついてある通知はいただいた記憶があるものの,その文面では給与の総額がわからなくて,それを人事に問い合わせても教えていただけなくて,結局その状態で住居の賃貸契約を結ぶことになり,ずいぶん苦労した記憶があります。ポスドクからテニュアへの転換で大きく給与総額が変わる局面でしたので,前職の給与水準では賃貸の審査に通るか少し不安がありました。結局給与総額はわからないまま賃貸契約を結ぶことになりました。
JREC-IN(大学教員の公募情報システム)を見ていると,モデル賃金を示してくれている大学もありますが,まだまだ少数のようです。
国立大学法人の場合は給与規程を含めて規則集・規程集は公開されているので,自分でなんとなく計算することができるケースがほとんどなのですが,私立大学の場合,大学によって給与水準がまちまちであるのに,その給与水準がわからないという問題があります。
以前,ざっくりとした推計の仕方として教員1人あたりの人件費を計算するという記事を書いたことがあります。おかげさまでこの記事はよく読まれているようです。
僕がいままでで聞いたことのある同世代(30代中盤)私立大学の最低水準は年300万を切る専任講師のケース,逆に年1000万を越える准教授のケースも耳にしたことがあります。本当に私立大学はピンからキリまであります。
自分の実績値
現職の大学でも,教員の公募をかける際にはモデル賃金を示せないか,と学内でかけあったのですが,結局その賃金を下回る結果になった時に責任がもてないという理由でうまくいきませんでした。また,給与規程についても内部情報ですので,従業員個人が勝手に公開するわけにはいきません。
中々難しい事情がいろいろとあるのですが,おそらく僕個人の給与の実績値を総額だけ公開するのは問題ないと思いますので,今日はその値を公開したいとおもいます。
まず私の個人情報ですが,1984年12月生まれ,2013年3月に28歳で博士修了(オーバードクター1年),2年間のポスドクの後に2015年4月に現職の東北学院大学・経営学部・准教授として着任しています。独身,扶養家族なしです。
給与総額の推移はこのようになっています。
2015年(30歳~31歳) 690万円
(ポスドク3ヶ月+東北学院大学准教授9ヶ月,夏のボーナスが満額でない)
2016年(31歳~32歳) 807万円
2017年(32歳~33歳) 818万円
2018年(33歳~34歳) 832万円
副業は含まず,源泉徴収票の給与総額の欄の数値です(肝心の初年度のみ控えを残していなかったので,家計簿から逆算しました。誤差があるかもしれません)。
なお,この給与総額の中には大学から一律支給される研究費が給与所得として含まれています。最初驚いたのですが,国税庁の通達上合法的な仕組みのようです。なので見かけの値は少し多めになっています。
個人的な感想としては,東北の物価の安さと,仙台という立地の利便性,週4~5コマの負担(私立大学としては少ない)を勘案すると,比較的良い方なのではないかなと思っています。