授業をしているといろいろなトピックをあれもいわないとこれもいわないとと気がはやる傾向にある。だけどいろんなことを一度に言っても消化不良になるだけなので,順番を考えながらやらないといけない・・。最低限,別の科目で教えることは別の科目でやると諦めることも必要かと思うので,各科目の達成目標を抜き出して,どのくらいの内容がどう分布しているのかをまとめてみた。ついでに科目外の自学自習分の達成目標を加えたので,ざっくりとではあるが経営学部生の4年分のチェックリストになっているとおもう。
- 1年前期 (経営学入門)
- 各分野の概要を理解する(科目名「○○論」について,大まかな内容と科目間関係を理解している)
- 社会科学の基本的な考え方を身につける(原因と結果,論理学の基礎,各ディシプリンの違い)
- 1年後期 (読解・作文の技法)
- 新書レベルの読み物を読む
- 本の選び方を身につける
- 専門用語の調べ方を身につける(辞書のひき方,検索のかけ方),専門の常識を身につける
- ビジネス文書の書き方を学ぶ(日本語の基本,敬語)
- ワープロソフト(ワード)の基本的な使い方を学ぶ
- 2年前期 (研究・発表の技法,ただし2016年度は私は担当しない)
- パワーポイント,エクセルの基本的な使い方を学ぶ
- 財務データの集め方,財務分析の仕方,業界情報の収集方法について実際にやってみる
- チームでの分業と調整のトレーニング
- 1年次-3年次 自学自習
- 広く本を読む 週1冊読めば年間50冊,4年で200冊になる
- 大学受験で使わず,高校時代の抜け落ちがある部分の復習
- 生きるために必要な知識を身につける(就活でアピールできる武器ではないが身を守るための常識,労働法とか栄養学とか経済関係に限らず)
- 『日本経済新聞』 半年,できれば1年ぐらい続けて読む。知らない指標や統計について,誰がどういう関心で見ているのかを確認する。
- 『日経産業新聞』 紙面構成に飽きるまで続けて読む。企業側の視点を学ぶ。プレスリリースや業界紙から日経産業新聞にニュースになるまでの流れを学ぶ。
- 広く本を読む 週1冊読めば年間50冊,4年で200冊になる
- 3・4年 専門科目(私は製品開発論を担当)
- 専門的な理論やフレームワークを幅広く学ぶ(耳学問)
- 3年 ビジネス・ケース分析I,II (事実上,演習に類する科目)
- 分析用のフレームワークを実際に使ってみる
- 現状分析から戦略提案までのプロセスを最初から最後までやってみる
- チームでの分業と調整のトレーニング
- 3年 演習(ゼミ)
- 特定の問いを念頭に,探索的に読む
- 文章の書き方を学ぶ(繰り返しの添削を通じた文章構成と日本語のトレーニング)
- (集団コミュニケーションのための企画を立案,運営する(懇親会,合宿など))
- 自分で問いを立てる練習をする
- 4年演習
- 論文を書くための調査手法や方法論について学ぶ
- 自分の立てた問いについて,自分で考える
- 長い文章の書き方を学ぶ
- 4年自学自習
- 就職する業界について分析し,深く理解する
- ゲストスピーカーの講義(実務家講座,おもてなしの経営学)
- 本や公開情報では学べない知識を学ぶ
- 体系化や,検証がなされていない話を,批判的に聞く
- 知性と生き方の結びつきについて考える
留意点2点。別段このような順序である必要はないのだが,これはカリキュラムと担当科目の制限の中で目標を割り振ったらこうなったというリストである(もっと細かく達成水準を書き込むといわゆるルーブリックになる)。僕や大学の都合抜きにフリーハンドで1から「ぼくのかんがえたさいきょうのけいえいがくぶせい」を書き起こしたらもう少し違うものになるかもしれない。第2に,語学に言及してない(カリキュラム上も持っていない)バランスの悪さが気持ち悪いのだけど,どう書き加えれば良いかよくわからないのでそのままにしておく。