製品開発論(2015年度)

シラバス

講義内容

新製品や新サービス,あるいは新事業の開発は,新しいアイディアを思いついた時点から,実際に製品・サービスが実現し,収益を獲得するに至るまで、いくつかの段階を経た「長い」プロセスです。また,収益化に至るまでの道のりは一筋縄ではいかないことが多い「不確実な」プロセスであるといえます。本講義の目標は、そのような不確実で長い開発プロセスを理解するための理論枠組みを理解することです。本講義では様々な理論を”登場人物別”に5つのパートに分けて紹介します。第1部はイノベーションを推進する人々,第2部はイノベーションを受け取る人々,第3部は製品システム自体と開発リーダーについて,第4部は競合や取引先などの他企業,第5部は内なる敵と,様々なプレイヤーの複合的問題を扱います。

達成目標

本講の目標は,抽象的に言えば,長い開発プロセスの各局面で現れる不確実性の違いや問題の特徴を理解することが目標です。具体的には3つの目標があります。①個々の理論やフレームワーク,概念間の違いについて理解していること,用語とその定義を覚えていること。②主要な概念や理論については,自分で事例を考えたり,説明ができること。③課題の提出を通じて,実務家の書いた文章を正確に読解し,わかりやすい文章でまとめることができること。わかりやすい文章を書くための手法はいろいろありますが,本講では特に「文章の構造作り」と「対比づけた紹介」の2点を学びます。

授業計画

  1. イントロダクション,第1部イノベーションを推進する人々(1) プロセスと役割,役割理論
  2. 第1部イノベーションを推進する人々(2) SECIモデル,小集団と成果
  3. 第1部イノベーションを推進する人々(3) ワークフローの高速化,リードユーザー,科学者と技術者
  4. 第2部イノベーションの認知と普及(1) 5つの知覚属性,採用者カテゴリー
  5. 第2部イノベーションの認知と普及(2) 普及曲線,ネットワーク外部性と事実上の標準,購買意思決定に影響を与える他者【課題a解説】
  6. 第2部イノベーションの認知と普及(3) 技術の社会的構成,法的規制と合意形成
  7. 中間試験
  8. 後半のイントロダクション,第3部複雑性のマネジメントとリーダーシップ(1) モジュール化とは,製品アーキテクチャとリーダーシップ
  9. 第3部複雑性のマネジメントとリーダーシップ(2) 知的財産制度と組織の分割,情報のモジュール化
  10. 第3部複雑性のマネジメントとリーダーシップ(3) デジタル化に伴う各種ビジネスモデルの変化,国際標準と標準策定機関【課題b解説】
  11. 第4部戦略的相互依存関係のマネジメント(1) 企業間パワー関係の考え方
  12. 第4部戦略的相互依存関係のマネジメント(2) ゲーム理論的戦術
  13. 第4部戦略的相互依存関係のマネジメント(3) ホールドアップ問題,日本型サプライヤーシステム,コア部品外販のジレンマ
  14. 第5部外部性と組織慣性のマネジメント(1) 外部性の整理,代替・共存・補完,製品システムの境界
  15. 第5部外部性と組織慣性のマネジメント(2) 成熟と慣性,アーキテクチャル・イノベーション,『イノベーションのジレンマ』

成績評価方法

課題20%,中間試験30%,期末試験50%
ただし,期末試験を受験するためには12回以上の出席と課題提出が求められます。
また,これらの他に追加の自由提出課題を設定することがあります。

学修に必要な準備

(予習)配付資料を読んでおくこと。
(復習)内容をまとめなおすなどの作業をすること。わからない内容を質問すること。配布する練習問題に取り組むこと。

関連して受講することが望ましい科目

経営組織論,経営史,経営戦略論,商品論,先端の科学と技術,マーケティングの内容と関連があります。

テキスト

理論面で特定のテキストは用いません。副読本として,小倉昌男(1997)『小倉昌男 経営学』を用います。課題の回答に必要になりますので必ず入手してください。

履修上の注意

第1回の授業の際に履修者の確認をするので,学生証を持参の上,必ず出席してください。
教員の連絡先については,第1回の授業で指示します。

配付資料

後半のイントロダクション
第3部 複雑性のマネジメントとリーダーシップ
第4部 戦略的相互依存関係のマネジメント
第5部 外部性と組織慣性のマネジメント

課題

課題a

課題b

課題bの様式はこちらを利用してください。

課題c

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