毎年経営学部の1年生に配付される『学習ガイド』という冊子に掲載する予定のゼミ紹介文面の来年度版(2017年度新入生用)を書きましたのでこちらにも掲載します。来年度から新カリキュラムが始まるので科目名を(旧)製品開発論→(新)イノベーション論など字句の修正を行った他,これまでのゼミの内容を記載しました。
ゼミについて
私は,専門科目としてイノベーション論という講義を担当しています。イノベーションとは,世の中に新しく登場する製品やサービス,ビジネスモデルなどのことです。イノベーション論という学問領域は,このような新しいモノやサービスが発想されてから市場に出るまでの一連の活動を検討の対象とする学問です。私はその中でもイノベーションを推進する際に生じる規制変化の問題を研究しています。
演習(ゼミ)ではイノベーションに限らず,広く企業経営に関連するトピックの中から毎年テーマを変えて輪読をしています。2015年度は都市経済とイノベーションについて,2016年度は法とアーキテクチャについて,2017年度はレトリック論がテーマです。この他「ビジネスリサーチ実習」という別授業で企業や業界の調査手法や分析枠組みを学習することを必修としています。
読む本を変えながらも毎年のゼミに共通するのは,理論を学ぶことと実際に分析してみることの両方を,往復しながら行うことです。各論者の主張の違いを整理するなど,頭を鍛えることもやるし,手と足で情報を集めて情報を加工分析して発表するという一連のプロセスを面倒くさがらずにやってみることも重視します。特定の領域に関して高度な専門家になるというよりは,経営現象全般に興味を持ち,初めての業界や問題にも果敢に取り組む度胸と勘がある「プロの素人」になることが,私のゼミの主眼とするところです。
せっかく経営学部に入り,社会人になる前にビジネスについて学ぶ4年もの機会を得たのですから,社会を見る目や考え方を養うことに時間を使ってほしいなと私は考えています。物の見方や考え方は,一朝一夕に変わるものではなく,時間やお金の使い方を変え,習慣を変え,いろいろなことを実際に経験しようやく身につくものです。そのプロセスのお手伝いができれば,教員としてうれしく思います。
主な担当科目
イノベーション論,ビジネスリサーチ実習
オススメの本
Thaler, R. H. and Sunstein,C. R. (2008),遠藤真美訳(2009)『実践 行動経済学』日経BP社。
三枝 匡(2013)『増補改訂版 V字回復の経営―2年で会社を変えられますか』日本経済新聞出版社。