to doリストを作ることはあるだろうか。やることリスト。買い物リスト。なんでもいいのだが、このご時世、データの保存には大したコストがかからないので、なるべくならto doリストは全部終わった後も捨てない方が良い。
to doリストを捨てる予定の裏紙に書いてはいけない。ノートにして残すべきである。ポストイットに書いても良いが、済んだ作業はノートの別ページに移して、残せるようにしておくべきである。データであれば、終わった作業の行を消してはいけない。チェックボックスを用意してチェックを入れるか、あるいは見え消しにすべきだ。
to doを作るからにはその作業は日常的に覚え込んだルーティンではなく、なんらかの意味で記憶の外部化を必要としているはずだ。先を見通すことを必要としているはずだ。ところが、人間の調子はよくなったり悪くなったりする。いつもいつも完璧な計画や見通しを持つことが期待できるわけではない。あのとき計画に入れた重要な作業が、ついつい日常の急ぎの些末なあれこれに煩わされて、忘れられてしまうことがある。そのような反省をするためには古い、終わった後のto doリスト、what’s doneリストにも価値がある。Plan、Doの後にはCheckが必要で、作業順の見直し作業をするためにもto doリストを捨ててはいけない。
デジタルなto doリストの良いところは、最低限そのタスクがいつ立てられた計画なのかの時系列データとしてリストを残しやすいことにもある。早くに計画したのに残っているタスクは、何らかの見直しを必要としている。
to doリストと同様の理屈で、原則として予定を書き入れたカレンダーも捨ててはいけない。捨てたくなるような大きさの壁掛けカレンダーとかを使うと大変なことになるので、できれば無限に保存できるgoogleカレンダーなどを使うとよい。見直してみると予定の立て方がそもそも間違っているということがある。重要度が高いものの後回しにされがちなタスクは、カレンダーに締め切り日時だけでなく、時間指定で作業時間をいれてみるのもよい。
もう少し原則論に戻ると、「将来見直しが必要になるはずの作業は記録を残す」ことが重要になる。この場合、必ずしもto doの計画は必要ではなく、what’s doneリストから始めればよいということもある。例えば、食料品の買い出しを見直したいときは、買う物のリストを作るところから始めても良いが、まずは実際に何を買っているのかのレシートを貯めるところから始めても良い。
特に計画は立てていなかったけれども、結果的にどのくらいの時間がかかったかタイムライン(年表)をメモにまとめることも有益だ。研究者の場合、論文が一本計画から公刊になるまでのタイムラインをまとめたり、授業毎の進捗をメモにまとめてもよい。気の知れた仲間にたまに公開したり、他の研究者のタイムラインメモを見せてもらうことがあるが、思考と反省の追体験ができて参考になる。