JASSO HACKS 学生の何割が奨学金を借りているか

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独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)によって,大学別の奨学金貸与者数や延滞率に関するデータが公開された。

学校毎の貸与及び返還に関する情報

一覧で見られないようにしつつ公開するというよくわからない手間のかかったデータなのだが,東洋経済がそのデータを一覧化して閲覧可能にしている。

独自集計!全大学「奨学金延滞率」ランキング 最も厳しい大学の延滞率は13.9%にも及ぶ

こちらも画像なのでコピー&ペーストはできないのだが,OCRにかけてみたところ大学名は不正確であるものの,数字部分は概ね正確に入手できたので,再分析にかけてみることにした。孫引きデータな上に,数字についても1,2時間で目立つ間違いは手作業で修正したものの全部を目視チェックしたわけではないので,元データの公開は控えることにする。

データは下記の4種の数字がでている。

A:貸与終了者数(過去5年分の人数)
B:延滞者数(Aのうち3ヶ月以上延滞した人の数)
C:延滞率(=B/A)
D:学生数

大学別の延滞率については僕はくだらない指標だと思っていて,高めに振れる可能性があるのは小規模な大学だけなので見てもしかたないとおもっている。全体の延滞率の平均は1.45%であるが,貸与終了者数を横軸にとって,延滞率のばらつきをみると,各大学の貸与者数が少ないほど1人延滞者が出た場合にうける影響が大きく延滞率に反映される。

同様の理屈は以前別の分析でも示しているので参照されたい。→都道府県別に標本を分割したデータを扱う時の注意点

東洋経済は分析に使っていないのだが,学生数(D)についてもデータがあるので,大学別に,学生のうち何割が奨学金を借りているか(以下,貸与率)を計算することができる。

A/DのままだとAが5年分のデータ,Dの学生数は概ね4学年分だと思われるので,さらに0.8をかけて補正することにした。6年制の学部の単科大学などでは不適切な操作となってしまうが,簡易分析なので大目にみてほしい。

全体だとちょうど50%,2人に1人が借りていることになるのだが,大学別に見るとこれが随分ばらつくことがわかった。725大学についてのヒストグラムを描くと下図のようになる。(数大学なぜか貸与率が100%を越えてしまっている大学があるので個別のデータとしてはお察し…)

大学によっては裕福な家庭が多く,奨学金を借りている人が2割程度であったりする(お嬢様校など)。他方で,6割を越えてくると九州や東北,北海道などの地方大学が多く含まれている。有名な大学を拾ってみると,東大24.1%,京大32.7%,慶應16.8%,早稲田35.7%となっていた。自分の関心のある東北地域について目視で43大学拾ってみたところ,貸与率が5割を下回る大学は10大学のみだった。

受験生の立場などで考えてみると,自分が奨学金を借りる予定で,周りでは少数派という状況は大学生活としてつらいことがあるだろうなとは思う。ネットワーキング効果を考えると社会階層の上昇を狙うにはあえて飛び込んだ方がいいという考え方もあるかもしれない。

大学経営を考える上では,寄付を募ることができそうかどうかに関わってくるので,非常に重要なデータであるといえる。保護者に募るにせよ,卒業生に募るにせよ,借金を抱えている状況で寄付を要求されても難しいだろう。